いたに致しましても、明晩、明後日、一生涯考えてみましたとても、このお返事は考えてはできません、それ故に、この場で、あなたのお心に従います――それが、僭上であるか、男女の道に外れているか、いないか、世間態のために、あるべきことか、なかるべきことか、そんなことも、以前のわたくしならば、充分に考えている余裕がありましたでしょうが、今のわたくしにはそれがありません、あなた様が、当然のこととして、それをお申し出でになったように、わたくしも当然のこととして、それをお受入れ致します、誰が何と言っても、もはや怖れません、誰に対して済まないことになるか、済むことになるか、そんなことも一切はここで忘れ去ってしまっております、この、はしたない、慎しみのない女を、お憐《あわれ》み下さいませ」
畢生《ひっせい》の力を振《ふる》って、こう言ったお松の舌は雄弁でした。平静に、平静にとつとめながら、その間から迸《ほとばし》る熱情が、火花のように散るのを、駒井は壮《さか》んなものをながめるかの如くに見つめて、
「有難い、わたしは今まで、いかなる女性からもそういう強い愛情を受けたことがありません、女性が男性の要求を受け
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