景気でした。
 七兵衛は、自ら楽しむと共に、司会者としての用心に抜かりなく、白雲は酒を呑んで、ひとり嘯《うそぶ》いて豪吟をはじめる、それについて清澄の茂太郎が、身振りあやしく踊って倦《あ》きないものですから、田山も歌って疲るるということを知りません。茂太郎の踊りは一座の花であると共に、他の船頭たちもまた、これにそそられて芸づくしがはじまります。白雲は興に乗じて、それらのお国芸をいちいち審査審判して廻りました。
 ウスノロのマドロスまでが、大はしゃぎでハーモニカを持ち出すと、それがまた一座の人気を呼ぼうというものです。
 そこで興がいよいよ亢《こう》じて、尽くるということを知りません。

         二十七

 駒井甚三郎は酒を飲むことをせず、また唄うことも、踊ることも、いずれも興味を持ち得ていないけれども、ただ、衆がたわいなく喜び興ずること、そのことを興なりとして、やがて、自分ひとりこっそりと椰子《やし》の葉蔭から海岸の方へと歩みを運んで、上気した頬を海風に嬲《なぶ》らせ、かがやく汀《みぎわ》の波に足許を洗わせながら、歩むともなく歩んで行きました。
 お松も同じ思いです。皆の楽し
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