らない、こんな奴に講中を頼む神主も神主だが、檀那《だんな》ぶりをして、満座の中で裏店神主はヒドイ、こいつは甥なるものがオコルのが当然だ、全く埒《らち》もない奴等だが、さて、こうなってみると酒が飲みたいな、吸物椀で一ぱい、ぐうーっとやりたいな。
飲める奴なら吸物椀で十三杯も、さして驚くには当らないが、てんで呑まない奴が十三杯は利《き》いたろう。こうなるとおれも、生きのいいやつを、塗りのあざやかな吸物椀でグイグイ引っかけたくなったよ、と神尾主膳が一応、書巻を伏せて、咽喉をグイグイと鳴らしました。
六十四
咽喉をグイグイと鳴らしたけれど、いずれを見ても酒はなし、吸物椀もないし、咽喉を鳴らし、津《つ》を飲みながら、またも書物を取り上げたのは、一つは所在なさと、一つは書物に対する興味、いわゆる巻を措《お》くに忍びずというやつであろうかと思われること。
その途端、
「チワ――これはこれは、御書見の体《てい》、小人閑居して不善を為《な》し、大人静坐して万巻の書、というところでげすか、いや、恐れ入ったものでげす」
いやはや、イケ好かない奴が来たもので、例の鐚《びた》であり
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