たが、商売気がないから、みんな質流れか、或いは二束三文。あれをもとに道具屋開業――なぜあの時それだけの知恵が出なかったか。トニカク勝のおやじめ、商売の筋を覚えたとなると、もう占めたものだ。が、商売というやつは儲かることばかりあるんじゃない、いつまでこの手で兵糧がつづくかな。待てよ、そこで、商売どころではない、あいつの身に重大な不幸が起ったらしいぞ。
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「男谷ノ親父ガ死ンダカラ、ガッカリトシテ、何モイヤニナッタ」
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 親父が死んだそうな。死んだ親父もこいつのためにはどのくらい苦労をしたか、死んで、悴《せがれ》の方ではガッカリシタの一句で片づけているが、相当に無常を感じたことは、何モイヤニナッタの自暴《やけ》半分の言葉つきでもわかる。何の病気で、どうして親父が急死したか。
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「シカモ卒中風トカデ一日ノウチニ死ンダカラ、ソノ時ハオレハ真崎イナリヘ出稽古ヲシテヤリニ行ッテイタカラ、ウチノ小侍ガ迎イニ来タカラ、一散ニカケテ親父ノトコロヘ行ッタガ、最早コトガ切レタ、ソレカライロイロ世話ヲシテ翌日帰ッタ、毎日ソノ事ニカカッテ居タ、息
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