りで、三ツの悴《せがれ》に家督を譲りたい、それは悪い了簡以上の図々しさだと、主膳が呆れて次を読むと、
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「コレマデイロイロノ不埒ガアッタカラ、一度ハ御奉公デモシテ世間ノ人口ヲモ塞ギ、養家ヘモ孝養ヲモシテ、ソノ上ニテ好キニシロト、親父ガ云ッテヨコシタカラ、尤《もっと》モノコトダト初メテ気ガ附イタ故……」
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 それ見ろ、それは親父の言うことがあたりまえの看板だ。それを今更になって、初めて尤ものことと気がついたもないものだ。
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「出勤ガシタイト兄ヘ云ッタラ、手前ガ手段デ、勤道具、衣服モ出来ルナラ、勝手ニシロ、オレハ、イカイコト手前ニハイリ上ゲタ故、今度ハ構ワヌトイッタ故、ソノ時ハオレガホホノ下ニハレ物ガ出テイテ寝テ居タガ、少シモ苦労ヲカケマイトイウ書附ヲ出シテ、檻ヲ出デ――」
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 出たな! なんとかかとか言って出してもらったな、これからがまた思いやられるよ――と神尾は苦笑をつづけつつ読む。
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「翌日、拝領屋敷ヘ行ッテ、家主ヘ談ジテ金子《きんす》二十両借リ出シテイロイロ入用ノモノヲ
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