立てつづけて口説《くど》き立てますが、今日は山道中の手管《てくだ》とは違います。兵馬の方でもまた、道中の時の煮え切らない挨拶とは違って、いよいよキッパリと、
「人の運命を見届けるということは不可能なことです、その人と生涯を共にしない限り、その人の末の末までの運命がわかるものじゃないです、人の一生は道中のようなものであるから、泊り泊りの一夜を、即ち生涯の運命の終りとして、途中の別れに未練があってはならない――いずれにしても、拙者の心はきまっている、誰がどう言っても立ちます」
 彼は早や行李《こうり》を引きまとめにかかるので、福松もただ泣いて口説いてばかりはいられないのです。

         五十五

「そうおっしゃられてしまうと、わたしには、このうえ何も申し上げられないわ、その人と生涯を共にしない限り、その人の末の末までの運命は見届けられない、その通りでございます、あなたと、わたしと、生涯を共にして下さいと言わない限り、この上あなたをお引きとめすることはできませんのねえ。あなたのような行末の有望なお方を、わたしのような股旅者《またたびもの》が引留めようのなんのと、そんなだいそれた心は
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