》を燃して明りを取り、蕨粉《わらびこ》を打っていた老山がつ[#「がつ」に傍点]が、ぬっと皺《しわ》だらけの面をつき出して、
「ドコさ行きなさる、勝山へおいでさんすかなあ」
五十三
その翌朝から、九頭竜川の沿岸を下って福井へ出る道も、かなりの難路でしたけれども、今までの山越しと比べては苦にならない。二人はついに越前福井の城下へ落着いてしまいました。
福松の、そわそわとして上ずっていることは、山の中から町へ出て、いっそう嵩《こう》じてしまいました。福井の城下で、極印屋《ごくいんや》というよい旅籠《はたご》をとって納まった気分というものは、旅から旅の稼ぎ人ではなく、半七を連れ出した三勝姐《さんかつねえ》さんといったような気取り。万事自分が引廻し気取りです。
ただ、この三勝は少し毛が生え過ぎているし、半七は追手のかかる身でないが、女のために身上《しんしょう》を棒に振るほどの粋人でないだけが恨みだが、半七よりもいくらか若くて、武骨で、ウブなところが嬉しい。それよりも福松の気丈夫なことは、二人の中には、現に三百両という大金が手つかず保管されていることで、これはもともと、
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