と、兵隊さんがいります、その兵隊さんをたくさんに持った方が勝ち、兵隊さんをたくさんに持って、調練をみっちりとさせ、鉄砲や軍艦をふんだんに持った方が勝ち、それをしなければ、これからの戦争には勝てないんですってね。そこで、先立つものはやっぱりお金――そのお金が、上方にも、お江戸にも、今はないのですってね。お江戸では、権現様以来蓄えた莫大なお財《たから》も、もう使い果してしまったし、上方でも、どのお大名も内緒はみんな火の車。ですから、人には不足はないが、お金の戦争。そこへ行くと、異人さんが途方もないお金を持っている、そのお金を貸したがっている、そこで、つまりは異人さんを味方につけた方が勝つ、という理窟になるのじゃない?」
「さすがに、築地通いをしているだけに、見識が広大になったものだ――金ばかりじゃ戦はできないよ、第一、士気というものが弛《ゆる》んでいた日にゃ戦争はできない、その次が兵糧、その次が金だ」
「まあお聞きなさい、異人さんはね、そこのところへ目をつけて、日本へお金を貸したがってるんですとさ。それでね、上方の方へはイギリスという国が金主につき、お江戸の方へはフランスという国が金主について、お金をドンドン貸出して戦《いくさ》をさせることになっているんですとさ」
「ばかげた噂だ、毛唐を金主に頼めば、毛唐に頭が上らなくなる、日本を抵当にして、一六勝負を争うようなもんだから、どんなに貧乏したって、毛唐の金で戦ができるか」
「でも、お金は借りたって、返しさえすれば、国を渡さなくても済むんでしょう、貸すというものはどんどん借りて置いて、済《な》せる時に済せばいいじゃないの、戦に勝つ見込みさえつけば、ちっとは高利の金を借りたって直ぐに埋まるでしょう。もし負ければ借りっぱなし、負けた方から取ろうったって、それは貸した方の無理よ。戦争に金貸しをしようというくらいの異人は、太っ腹の山師なんでしょう、そのくらいのあきらめはついていないはずはないから、こんな時節には、貸そうというものを借りないのは嘘よ。で、上方でも、ずいぶんイギリスという国から借りる相談が出来ているという話ですし、こちらでも、小栗様なんぞは、このごろ、六百万両というお金をフランスから借りることになったんですってね、これはごくごく内密《ないしょ》なんですけれども、わたしは確かな筋から聞きました」
「ナニ、小栗がフランスから
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