ら、不意を食った鐚が驚いたの驚かないの――
「ああ、痛! 暴力、これは乱暴!」
歪《ゆが》んだ頬っぺたを押えながら、三尺ばかり飛び上りました。
六十一
上来、この「京の夢、おう坂の夢」の巻に、書き現わし得たところと、書き現わそうとして現わし得なかったところを、ここに個人別に収束してみますと――
藤原の伊太夫と、女興行師お角は、旅中の旅で、近江の国の大津から竹生島へ詣《もう》でて立帰り、逢坂山の大谷風呂で、お銀様及び不破《ふわ》の関守氏と会見することになっている。琵琶の湖水に溺れた竜之助とお雪ちゃんとは、伊太夫の船に救われたが、お雪ちゃんは山城田辺の中川健斎方へ引取られることになる。竜之助は大谷風呂にいて、夢魂夜な夜な京に通う。
道庵先生は相変らず泰平楽を並べて、酒に隠れているが、安然塔の発見から、旧友健斎老と会見、これもお雪ちゃんと前後して、山城田辺へひとまず身を寄せることになる。青嵐居士《せいらんこじ》は胆吹王国の留守師団長ということに納まる。がんりき[#「がんりき」に傍点]の百は大津と胆吹の間の飛脚をつとめる。
一方、駒井甚三郎は無名丸を擁して、陸中
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