、毎日毎日、もらった米、麦、引割をその徳利にて煮て食ったから、困らないようになったが、それまではまことに食物には困った。だんだん気分がよくなったから、そろそろとそこを出かけて、府中まで行ったが、とかく銭がなくって困るから、七月ちょうど盆だから、毎夜毎夜、町を貰って歩いたが、伝馬町というところの米屋で、ちいさい小皿に引割を入れて施行《せぎょう》に庭へ並べて置くから、一つ取ったが、一つのさしに銭が一文あるから、そっとまた一つ取った、そうすると米を搗《つ》いていた男が見つけおって、腹を立て、二度取りをしおるとて握《にぎ》り拳《こぶし》でおれをしたたかぶちおったが、病後ゆえ、道ばたに倒れた。ようよう気がついた故、観音堂へ行って寝たが、その時はようやく二本杖で歩く時ゆえか、翌日は一日腰が痛くって、ドコへも出なんだ。それから或る日の晩方、飯が食いたいから二丁町へはいったが、麦や米ばかりくれて、飯をくれぬから、だんだん貰って行ったら、曲り角の女郎屋で客が騒いでいたが、おれに言うには、手前はこぞうのくせに、なぜそんなに二本杖で歩く、悪くわずらったかと言う、左様でござりますと言ったら、そうであろう、よく
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