どのがやかましくて(神尾|曰《いわ》く、なにばばあがやかましいものか、これで可愛がられるか)おれが面《かお》さえ見ると叱言《こごと》を言いおる故、おれも困って、しまいには兄嫁に話して知恵を借りたが、兄嫁も気の毒に思って、親父へ話してくれたが、そこである日親父がばばあどのへ言うには、小吉もだんだん年をとる故、小身者は煮焚《にた》きまで自分で出来ぬと身上をば持てぬものだから、以来は小吉が食物などは、当人へ自身にするようにさっしゃるがよいと言ってくれる故、なおなおおれがことはかまわず、毎日毎日自身に煮焚きをしたが、醤油には水を入れて置くやら、さまざまのことをするから、心もちが悪くてならなかった。よそより菓子何にてももらえば、おれには隠してくれずして、おれが着物は一つこしらえると、世間へ吹聴《ふいちょう》して、悪くばかり言い散らし、肝《きも》が煎《い》れてならなかった。祖父に言うとおればかり叱るし、こんな困ったことはなかった」
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五十六
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「十四の年、おれが思うには、男は何としても一生食われるから、上方あたりへ駈落《かけおち》
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