ているぜ」
「口幅《くちはば》ったい言い分だな、ドレだけ修行して、ドレだけ出来るのか、勝に限って、まだ人を一人斬ったという話も聞かない」
「若い時は、あれで盛んに道場荒しをやったそうだ」
「いったい、彼は何の流儀で、誰に就いて剣術を学んだのだ」
「師匠は島田虎之助だが、剣術にかけては島田より家筋が確かなんだ、勝はあれで男谷の甥《おい》に当るんで、勝の父なるものが、男谷の弟なんだ、それが勝家へ養子に来たのだから、れっきとした武術の家柄なのさ――いやはや、その勝の父なるものが、箸《はし》にも棒にもかかった代物《しろもの》ではない」
と一座の中の物識《ものし》りが、勝麟太郎の家柄を洗い立てにかかったのが、ようやく話題の中心に移ろうとする時でありました。
 そこへ、ひょっこりと姿を現わして、
「やあ諸君、おそろいだな」
と、抜からぬ面《かお》で言いかけたのが、斎藤一でありました。

         五十一

「斎藤が帰って来たぞ」
「一人で帰って来たぞ」
「隊長はどうした」
 その詰問に斎藤が騒がぬ体《てい》で答える、
「隊長は今そこまで来ている、僕は別に人を一人つれて、一足先に帰って来たよ
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