ところへ、右の待遇問題が起って来た。近藤らは甘んじて幕府の金箔附きの御用党となる建前である、近藤としては、一土民から直参になり、あわよくば国主大名にも出世し兼ねまじき路が開かれたのだろうが、最初の同志浪人の面目は台なしだと、不平分子がこの機会にいきり出したのも無理のないところがある」
「そうだろう、浪人として集まったものの中には、浪人なることを本懐として、役人たることはいさぎよしとしないものが多々あったはずだ」
「その通り、我等は浪人として勤王攘夷を実行せんために、新撰隊に加盟したのだ、いまさら徳川の禄《ろく》を食《は》んで、その爪牙《そうが》となるわけにはいかぬ、新撰隊そのものが、そういうふうに変化した以上は、我々の隊に留まるべき大義名分は消滅したのだから、脱退して新たなる出処につくことが士の本分である、至急、我々の脱退を認めろ、というのが、これらの者の主張であって、これを右の直参待遇問題を機会にして、彼等が正面から近藤にぶっつかって行ったのだ」
「それを素直に聞くようなら、近藤も近藤でないし、新撰組も事実上の消滅だ。してその成行きはどうなった」
「右の十名のものは、右の意見を発表す
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