民的……いつかは奴茶屋《やっこぢゃや》の前まで来ておりました。その奴茶屋の縁台に腰打ちかけ休んでいた一人の発言でした。
「やあ、山崎君ではないか」
これはこれ、新撰組の一人、香取流の棒の名手、変装の上手、山崎譲でありました。
四十三
なるほど、山崎ならば、新撰組の近状を知ることに於て田中以上だろう。奴茶屋に休んでいた山崎は、闇中から不意にしゃしゃり出たと見ると、二人に押並んで歩調を合わせながら、
「では、僕が代って、その後の新撰組の状態と、今後の予想とをくわしく話して聞かせようではないか――」
と言って、懐中から何か一ひらの紙切れを取り出して二人に示し、
「まず、これを一覧し給え」
暗いところではあり、かつ、会話はしながらも、これは無性に進行している途中ではあり、そこで急に紙片をつきつけられたからとて、本来読めるはずのものではないが、そこは不思議にも、
「どれどれ」
と言って受取った二人の前へ、笠から透きとおって、その巻紙の文字がありありとわかるのであります。読んでみますと、それは次のような人名表でありました。
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