に傍点]と言わっしゃるが、ドコの何というあねさん[#「あねさん」に傍点]なんですね、まさか本所のあねさん[#「あねさん」に傍点]でもござるまいがなあ」
と道庵が言いますと、中年僧は、
「あねさん[#「あねさん」に傍点]というのは俗称でござんしてな――実は五大院の安然《あんねん》大和尚のこれがその爪髪塔《そうはつとう》なんでござんすよ」
「ははあ、安然大和尚、一名あねさん[#「あねさん」に傍点]――」
「その通りでござんす、これが安然大和尚の爪髪塔なることは、歴然として考証も成り立つし、第一、磨滅こそしているようですが、よくごらんになりますと、ここにこれ、もったいなくも『勅伝法――五大院先徳安然大和尚』と銘がはっきり出ております」
「ははあ、なるほど」
 道庵がまだ注意しなかった石の側面に、なるほど立派に右の如く読める文字が刻してある。そこで、中年僧(実は長安寺の住職平田諦善師)は安然和尚に就いて、その来歴を次の如く道庵先生に語って聞かせました。

         三十七

 五大院の安然に就いては、「本朝高僧伝」には次の如くに記してあります。
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「初め慈覚大師に
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