いお天気でがすよ。時に、この塔はこりゃ、いったい何でござんす」
と道庵先生がたずねますと、右の中年僧がニコニコして、
「あねさん[#「あねさん」に傍点]塚でござんすよ」
「あねさん[#「あねさん」に傍点]塚?」
「ええ、これが有名なあねさん[#「あねさん」に傍点]塚でござんすが、尋ねて下さるお方は甚《はなは》だ少ないでごわしてな」
 その甚だ少ない中の、自分が一人であると見立てられると、道庵先生いささか得意にならざるを得ない。
「いや、それほどでもないですがね、あねさん[#「あねさん」に傍点]とは申しながら、これほどのものを無縁塔にして置くのは惜しいと思いましてな」
 あんまり要領を得ない返事をします。右の中年僧が、改めて道庵先生のために説明の労を取りました。
「いや、無縁ではございませんが、まあ、一種の悪縁とも言うべきでしょうか、これほどのお方の遺蹟が、すっかり世間から冷遇されることになりましたのは、遺憾千万なことでござんすよ」
「あねさん[#「あねさん」に傍点]も、世間からそう冷遇されるようになっちゃあおしまいだ。いったい、あねさん[#「あねさん」に傍点]、あねさん[#「あねさん」
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