の土地柄なんだろう。この土地の気風が、おのずから他国の客を愛するように出来ている、その人気の致すところかも知れない。駒井はその辺に疑惑を持ったけれども、これは悪い方の疑惑ではない、極めて素質のよい疑惑でありました。
こうなった以上は、この港に久しく留るべき理由はない。万端がととのうて、即時出帆ということになりました。
船が動き出した時に、陸上に、意外にも多数の見送りの人が現われました。ズラリと海岸に並んで、こっちへ向って笠を振り振り、さらば、さらばをしている。そこで、駒井をはじめ、船の者がまた不審がりました。あの人たちは、たしかに人を送るの情を現わしているようだが、さて送られる人は誰だ。我々は、ここに仮りの碇泊こそしたけれども、送らるべき知己を持たない。他に船出する人があってそれを送るべく、あそこに立っている。この船が大きく、あの人たちの送る舟が小さいがために、こちらが好意を独占するような形式におちているのではないかと、港の周囲を見渡したが、自分たちの船のほかに、それと覚しい舟の出帆は一ツも見えない。そこで、こちらは戸惑いをしました。我々を送ってくれるならばその好意を受けて、これに
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