です。ここで、今後の長期航海に堪えるあらゆる物資を集めて、或いは新たに積入れ、或いは極度の補充をして行かなければならない。その物の補充に於ては、あらかじめ駒井船長が多大の心配を持っておりました。
何となれば、船籍の不明瞭なこの船へ、人が恐れて物資を供給しないことになるかも知れない。よし供給してくれたにしても、その限度というものがある。釜石は悪い港ではないけれども、何を言うにも中央から遠い、ここで補給すべくして、出来ない品がありはしないか。
そういうものは、今後どこで補充するか、というような先から先までを、駒井が頭に置いて、補給の準備を命ずると、案外にも非常に迅速に且つ多量に、ほとんど立ちどころに補給の道がつきました。代金も相当、或いは相当以上にしはらったには相違ないが、さりとて、この迅速豊富なる供給ぶりは、ただ金銭だけには換算し難い好意というものが含まれていることを、駒井船長が認識せざるを得なかったけれども、しかし、自分の船が、知らぬ他国の人から疑惑を蒙《こうむ》ろうとも、好意を寄せらるべき因縁《いんねん》は持たない。それを、こんなに土地の人が好意を以てしてくれることは、おそらくこ
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