守師団長としての自分の重責はそこにある。この際、いかにしてこの王国を守るかということは、いかにして一揆の大勢《たいせい》をそらすかということでなければならぬ。
そうでなくても、胆吹は古来、山賊の類《たぐい》に目ざされる山なのである。ややもすれば、胆吹へ籠《こも》るぞと言いたがられる山なのである。こう大勢が傾いて来て、まず先陣がこの山の一角を占拠したということになると、風を聞いて、あとからもあとからも、近江一円の一揆共には限らない、遠近の国々から不逞《ふてい》の徒がみんなこの山に集まって来て根城に仕兼ねない。事は重大で、そうして、焦眉の急に迫っている。留守師団長として、ここで策をめぐらさなければ、めぐらす時がない――青嵐居士が正装をして両刀を提げて立ったのも故なしとはしないのであります。
「君たち、一手は手を揃《そろ》えてできるだけのたきだしをしてくれ給え、それから、有らん限りの米を積下ろしてくれ給え、庫《くら》には三日分ほどの量を残して置けばよろしい、それから最近、長浜で両替をしてきた銭の全部を出して庭へ積んでくれ給え、その数量は拙者が行って読むから、それが済んだら、直ちにそれを馬と
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