に前人によって定められてあるのですから、それをいまさら検討して、革新の、改善のということは自分の権内ではない。その辺には少しも触れないで、現状を最もよく管理することが自分の任務だと思いました。
 そこで、自分として主力を置くべきものは、領土でなく、経営でなく、専《もっぱ》ら人事であるとの見地から、この王国に集まるところの人間の研究から取りかかりました。研究はどうしても科学的でなければならぬ、ローマン的であってはいけないという出立から、まずこの王国に現在集まっているところの人種を、次のように大別してみました。
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甲種―胆吹王国の主義理想に共鳴して、これと終始を共にせんとする真剣の同志
乙種―現在は、まだ充分の理解者とは言い難いが、やがてその可能性ある、いわば準同志
丙種―主義理想には無頓着、ただ開墾労働者として日給をもらって働いている人
丁種―食い詰めて、ころがり込んで、働かせられている人
戊種《ぼしゅ》―好奇で腰をかけている人
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 だいたい、この五種に分けてみました。頭数はすべてで約五十名ある。それをこの五つの中に部分けをして編入を試みよう
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