大菩薩峠
農奴の巻
中里介山
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)晒《さら》しの者《もの》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)企てたる段|不埒《ふらち》につき
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)憂心※[#「りっしんべん+中」、第3水準1−84−40]々
−−
一
近江の国、草津の宿の矢倉の辻の前に、一ツの「晒《さら》し者《もの》」がある。
そこに一個の弾丸黒子《だんがんこくし》が置かれている。往来の人は、その晒し者の奇怪なグロテスクを一目見ると共に、その直ぐ上に立てられた捨札を一読しないわけにはゆかぬ。その捨札には次の如く認《したた》められてあります。
[#ここから3字下げ、罫囲み、1行7字]
この者、農奴の分際を以て恣にてうさん[#「てうさん」に傍点]を企てたる段|不埒《ふらち》につき三日の間晒し置く者也。
[#ここで字下げ、罫囲み終わり]
この捨札を前にして、高手小手にいましめられて、晒されている当の主は
次へ
全365ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング