のがあって、それと土地の者とが衝突して、その巻添えを喰ったために、米友の連れて来た馬が逸走して、それを米友が追いかけて、ついに姉川の古戦場の川原まで行ってしまったことがある。その川原の真中まで馬を追い込んで見ると、その両岸に群集が群がって殺気を立てている。おいらと馬をおどかすにしては、あまり仰山なと思っていたら、両岸の百姓たちが水争いをするのであった。両岸の村民が水口《みなくち》を争って、あわや血の雨を降らそうという時に、水門の上へ悠々と身を現わして、仲裁を試みた上に、双方の代表を引具《ひきぐ》して引上げた編笠の浪人が一人あったのだ。
あの人だ、あの人が、つまりこの人なのだ。そう思って見れば、いよいよ背恰好がそっくりである。それに相違ない、と米友は見込んでしまったが、さて、あれから、あの納まりはどうなったのだ。まるで戦争でもはじまりそうだったが、それでも無事に済んだらしいのは結構だが、その納まりをつけたこの人が、ここではあんまり暢気《のんき》過ぎるというような感じもして、とにかく、変な人だと思いつつあとをついて、宇治山田の米友はほどなく、とある一種異様な門構えの前まで来ました。
そ
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