目でジロリと見たが、その次に、アッと驚いて、また見直して、また驚き直しました。
「まあまあ、お前さんは、歳《とし》どんじゃないの、歳どん――間違ったら御免なさい」
今まで物に動じなかったお角が、その時になって、はじめて取乱して、こういう頓狂声を立てたものですから、上下内外、みな驚かされました。
百七十九
見慣れぬ女の声で、新撰組の隊士もみな気色ばむうちに、土方は篤《とく》とお角さんを見つめて、
「は、は、は、こりゃあ珍しい、両国の親方じゃないか」
副将がこう言ったものですから、一同がまた呆気《あっけ》にとられてしまっていると、
「ほんとに、お前さん、歳どんでしたねえ、みんながまた、新撰組、新撰組って、鬼の寄合いででもあるように騒ぐもんだから、どんなに荒武者が来るかとビクビクものでいたんですよ、ところがお前さんは、歳どんじゃないか、お前さんが、その新撰組? しかもそれが隊長様とは驚きましたよ、夢じゃないだろうねえ」
とお角さんが、あたりかまわず言ってのけて、なれなれしく土方歳三の傍へ近づいて来るものですから、誰も煙《けむ》に巻かれないわけにはゆかないのです。そ
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