ゃがあせんか、うまくやってやがら」
 四谷とんびが、指で丸い形をこしらえながら、こう言って狂い出したものですから、三人の壮士も、もう黙って聞いてはいられなくなって、南条力が、
「これこれ旅の老人――君はどなたか知らんが、近藤勇の同郷とか名乗っておられる、それでどうして、さように近藤の棚卸しをするのだ、もとより近藤だとて聖人君子ではないが、君のいうところによると、一から十まで金銭で動く無頼漢としか映っていないようだ、拙者も知っているが、近藤はそういう下品な人物ではない、彼の書いた書もある、詩もある――
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百行所依孝与忠(百行の依る所は孝と忠となり)
取之無失果英雄(これを取つて失無くんば果して英雄)
英雄縦不吾曹事(英雄は縦《よ》し吾曹《わがそう》の事にあらずとも)
豈抱赤心願此躬(豈《あに》赤心を抱いて此の躬《み》を願はんや)
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 立派なものじゃないか、志も正しいし、謙遜の奥床しさもある、書もなかなかよく書いていた、天晴れの豪傑だ。それを貴様は同郷人だと言いながら、言語道断にこき卸す、奇怪《きっかい》な奴だ――」

         百六十
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