た。三井とか、鴻池《こうのいけ》という大家が旅をする時に、よくこんなふうにやつして旅をするといったやつ――こいつは只物でねえ――と見破ったがんりき[#「がんりき」に傍点]は、この点に於て、さすがに商売がらでありました。
これぞ――西国へ行くと言って、急に甲州有野村を旅立ちをしたお銀様の父伊太夫と、その一行でありました。
そこで、がんりき[#「がんりき」に傍点]は、速足をごまかして、わざと一行のあとを後《おく》れがちに慕うことになる。
伊太夫の一行は、悪い奴につけられたということを知らないで、西へ向って急ぐ。
新月は淡く、関ヶ原のあなたにかかっている。
底本:「大菩薩峠16」ちくま文庫、筑摩書房
1996(平成8)年7月24日第1刷発行
「大菩薩峠17」ちくま文庫、筑摩書房
1996(平成8)年8月22日第1刷発行
底本の親本:「大菩薩峠 十」筑摩書房
1976(昭和51)年6月20日初版発行
※底本では、「…頬かむりをとって、その面《かお》を突き出して」の後に、改行が入っています。
※疑問点の確認にあたっては、「中里介山全集第十巻」筑摩書房、197
前へ
次へ
全439ページ中438ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング