しにも撃てるかどうだかわからん」
と言って辞退したが、たってのお望みとあって是非もなく、
「そんじゃア」
と言って引きうけて帰った。
 そして鉄砲を磨き、弾丸《たま》をしらべ、幾日もの食い物をむすびにして腰につるし、
「もし撃ち取れねえば、生きちゃ帰るまい」
と覚悟し、氏神様へお参りをして、ある日、朝早くから山へ登って行った。
 そして幾日も幾日もの間、とてもごっちょう[#「ごっちょう」に傍点](苦労)して、山という山は残るところなく、ほかの鳥獣《とりけもの》には目もくれず、ただ手白猿ばっか[#「ばっか」に傍点]探し廻ったが、その行方《ゆくえ》はかいもくわからなかった。これまで、ほかの鳥獣なら、これと狙《ねら》った以上は必ず取りぞく[#「ぞく」に傍点]ないのない与次郎も、手白猿ばかりはまるで手はつかなんだ。
「いよいよ今日中にめっからねえば、その時こそは死ぐばっかだ」
と考えながら行く。お天道様の具合で、ちょうど昼時となったので、与次郎は谷間に湧く清水の岩角に腰を下ろして昼食を始めたけんど、がっかり[#「がっかり」に傍点]している今は食べ物も咽喉《のど》を通らない。
「はい、これからは
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