で出て参りましたのです」
「湖畔ですか、つまらないじゃありませんか、もう少し変ったところへ出て見たいとお考えにはなりませんか」
「さあ、変ったところと言いましてもね、あれから舟を湖中に浮べて湖上の月を見るとか、竹生島詣でをして島の月をながめるとかいった程度のものでございましょう」
「そういうことは誰もやっておりますし、誰にもやれないということのない風流なのです、あなたとしては、もう少し規模の変った風流を遊ぶ気にはなれませんか」
「とおっしゃっても、風流というものの程度も、種類も、大抵きまったものではありませんか、土地を換え、仕方を変えてみましたところで、新月が円く見えるわけのものでもなし、月の色が変って見えるというわけのものでもなし」
「さあ、天界と風土は、たいてい変らないものですけれど、人界のことは大変りです、もう少し変った人間社会のことに、風流を味わってみるお考えはございませんか」
「有りますとも。有るには有るけれども、人間社会のことと言ったって、そう非常な変り方というのは有るものじゃありませんね、要するにみんな型がきまっていて、音色が変っているだけのものなんで、そう見たいとは思い
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