仕事が、前いう通り、寝ている蒲団の中からお雪ちゃんの身体《からだ》を引きずり起して、両方の腕で掻抱いて、むやみにゆすぶり立てることでありました。そうして続けさまにその名を呼んで、まず正気を回復せしめて、事の理由をたずね問わんとするものでありました。
しかし、その手ごたえがいっこう薄弱で、かえってますます消極的にくず折れて行く有様に、周章狼狽をはじめたのは見らるる通りでありますが、この非常の際にも、ただ一つ安心なのは、どう調べてもお雪ちゃんの身体の外部にいささかの損傷のないということであります。
斬られているのでもなければ、締められていたという痕跡もないし、毒を飲ませられたという形跡もないことですから、事態はどうしても内臓の故障から来ているらしい。女子に特有な癪《しゃく》だとか、血の道だとかいったような種類、お雪ちゃんがてんかん[#「てんかん」に傍点]持ちだということは聞かないが、そうでなければ何か非常に驚愕《きょうがく》すべきことでもあって、一時、知覚神経の全部を喪失するほどに強襲圧倒させられてしまったのだろう。
その辺にだけは辛《かろ》うじて得心を持ち得たが、事体の危急は少しも
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