の方を見た時に、青い火が一つ、それは例のセント・エルモス・ファイアーではない、青い火の塊りが一つ、ふわりと飛んで、一定の距離に淡い筋を曳《ひ》いたかと思うと、暫くにして消えてしまいました。
多分、俗に人魂《ひとだま》とでもいうものなんでしょう。
四十六
それはさて置いて、残されたりし上平館の松の丸の炉辺で、今、米友がスワと、炉辺の席を蹴って立ち上りました。
そうして、自在も、鉄瓶も、大またぎに突破して跳り込んだのは、さいぜんから問題の納戸《なんど》の一間、これを奥の間とも呼んだところの一間であります。納戸と奥の間とは違うけれども、この際、炉辺と台所とを標準にすれば、いずれも構造的に奥の方に当るのですから、奥の間とも、納戸の一間とも、この際に限って呼んで置きましょう。
そこへ米友が一息に飛び込んで行って、
「お、お雪ちゃん、どうしたい、お雪ちゃん」
寝ている蒲団《ふとん》の中から、お雪ちゃんの身体《からだ》を引きずり起して、両方の腕で掻抱《かきだ》いてむやみにゆすぶりました。
ところが、お雪ちゃんにはいっこう返事がなく、返事の代りに、聞くも苦しそうな唸《
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