たのはどうしたものでしょう。
 その形相《ぎょうそう》を見るに、生ける長身の不動が、火焔を吹き靡《なび》かせつつ、のっしのっしと歩み出したようなものです。ただ、その火焔の色が、不動尊のは普通の火の如く紅《あか》いが、この物影から起る猛火は青いのです。
 それは青い火が後ろから飛んで来て、不意にこの物影にむしりついたのか、或いはこの物影の体内から自然に青い火が燃え出して、この雰囲気を作ってしまったのか、そうでなければその辺の焼残りの野火にでも触れて、忽《たちま》ちこんな火焔を背負わされてしまったのだか、そのことは、はっきりわからない。
 最初にあの家を出る時は、証跡《しょうせき》の誰にもわからないくらいでしたから、当然こんなに火を背負って出て来たはずはない。ここまで来る途中、いつ、どこでということなく、松柏の林をくぐるかくぐりきらないうちに、この通り火の人となってしまったのですが、この火は、世間普通の紅い火のように、この人を焼く力を持っていないことは確かで、かくも全身に火を背負わせながら、その足どりとしても、息づかいとしても、従前とさのみ変ることはなく、強《し》いてわれともがいてその火を
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