ん君公を抱いて寝てやりてえ」
 今度は米友が、うわごとのように言いつづけました。
「育たなけりゃいいんだ、人間てやつは、いつまでも餓鬼でいさえすりゃ、男が女を抱いて寝たって、女が男に抱かれて寝たって、何ともありゃしねえんだ――人間は育ちやがるから始末が悪い」
と言い出しました。
 しかし、それは無理である。生きてる以上は育つなというのは無理です。そのくらいなら寧《むし》ろ生れるな――ということの抜本的になるには及ばない。だが、米友としては、「生れなけりゃよかったんだ、君公も、おいらも――いや、あらゆる人間という人間が生れて来さえしなけりゃ、世話はなかったんだが」という結論まではいかないで、ひときわの懊悩《おうのう》をつづけておりますと、ふっとまた一つ聞き耳を立てると、この懊悩も、空想も、一時《いっとき》ふっ飛んでしまい、思わず凝然《ぎょうぜん》として眼を注いだのが、例の、その以前から静まりきったところの納戸《なんど》の一間でありました。

         四十一

 しかし、今ここで勃然として気がついて、凝然として眼を注いだだけでは、米友として、もう遅かったのです。
 たしかに、あの
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