の土地をお求めにならなかった、それが本当でございます。わしも本来は、その旅を志して出て来たのでございましたのに、今、こうして人様のおなさけに甘えて、いい気になっているのは悪うござりました、わしらは、わしらの罪亡ぼしに、やっぱり一生涯旅をし通さなければならないわけのものでございましたのに……」
と言って、与八は婆さんを伏し拝んでいるうちに、いよいよ涙がとめどもなく流れて来ました。
底本:「大菩薩峠16」ちくま文庫、筑摩書房
1996(平成8)年7月24日第1刷発行
底本の親本:「大菩薩峠 九」筑摩書房
1976(昭和51)年6月20日初版発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:原田頌子
2004年1月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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