あまり考慮をめぐらしていなかったのです。小鳥山鳥を捕まえて来たと同様に、当座は何でも有合せの雑穀をあてがって置き、それから然《しか》るべき買い手を見つけたら相当にいい値になるだろうの漫然たる予算だけであったのが、お銀様のために頭からそれを否定されたのですから狼狽《ろうばい》しました。
「生きたものでなければ食べやしません、鷲という鳥は、鳥の中の王様ですから」
「あ、左様でございましたなあ。生きた物、生きたものなら何でもよろしうございますか」
「生きたものといっても、トカゲやイナゴなんぞを食べさせてもダメですよ、生きたものの肉でなければ鷲の子は育ちません、さし当り兎なんぞがいいでしょう」
「兎の生きた肉を食べさせるのでございますか」
「ええ毎日――少し大きくなると、一匹や二匹では足りないでしょう」
「あてこともねえ、毎日、兎を二三匹も食いこまれちゃたまることでねえ」
と、抱いてた一人が、自分の身でも食いきられるかのように悲鳴をあげました。
「とてもやりきれた話でござらねえ」
 二人は、この時、はじめて面《かお》を青くしてしまいました。
 事実、この二人の者の身上で、一羽の鳥とはいえ禽類の
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