いかけるのです。これはやっぱり大きな捕物には相違ないけれども――何者が何者を捕えようとするのだかは、さっぱりわかりません。追いかけられる方の姿が眼に止らない上に、追いかける方が「御用」ともなんとも叫ばないのです。お松は、全くいらいらして、何とも口の出しようもありません。
そのうちに、追われている大きなブン廻しの独楽が、くぐり抜けて勢い込んで、問題の臥竜梅《がりゅうばい》の下まで廻って来たような姿を認める――追いかけられた独楽の勢いでは、その臥竜梅の梢《こずえ》へ飛びつきたかったものと見えましたが、その幹のうつろに近づいたかと思うと、その下に伏せてあった天水桶がガバと動きました。
「捕《と》った!」
お松はよろよろとよろけました。
天水桶から飛び出したのは、それは、昼のうちの気のよい桶屋さんの形によく似ている。それが、今しブン廻しで臥竜梅の幹の下までくぐり抜けて来た、その追われる独楽の主に、前面から大手をひろげて飛びかかって、
「占めた!」
そこで桶屋さんが、まともにぶっつかって来た大きな独楽を抑えつけたものですから、その独楽との正面衝突です。
「捕った!」「占めた!」というのは
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