、買いに行っておやりよ」
神尾が第二発の爆弾を子供からぶっつけられて、ヘトヘトになりました。それでも足りない子供たちは、
「あたいも、いまに稼《かせ》いで、お金を貯めて、お女郎買いに行くの、よしんベエを買いに行ってやらあ」
彼等は、自分の家の製造物が問屋へ仕切られたような気持で、友達の売られたことを語り、お小遣《こづかい》を貰っておでんを食いに行くと同じ気持で、その遊び友達であった異性を買いに行くことを約束している。
さすがの神尾も、子供たちから続けざまの巨弾を三発まで浴せられて、のけ反《ぞ》っているのを見向きもしない子供たちは、
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おんどら、どら、どら
どら猫さん、きじ猫さん
お前とわたしと駈落《かけおち》しよ
吉原|田圃《たんぼ》の真中で
小間物店でも出しましょか
一い、二う、三い、四う
五つ、六う、七、八あ
九の、十
唐《とう》から渡った唐《から》の芋
お芋は一升いくらだね
三十二文でござります
もうちとまかろか
ちゃからかぽん
おまえのことなら
負けてやろ
笊《ざる》をお出し
升《ます》をお出し
庖丁《ほうちょう》、俎板《まないた》出しかけて
頭を切
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