って屈《かが》んで、隠れてしまいました。
しかもこれは女の子です。その女の子を見ると、主膳は直ちに、これは少し低能な奴だなと知りました。
いつも遊びに来る定連《じょうれん》の中の一人には相違ないが、年はなにしろ子供だろうが、肉体はいちばん発達している、顔に少し抜けたところはあるけれども、色は白いし、がかい[#「がかい」に傍点]が大きいから十四五[#「十四五」は底本では「一四五」]には見えるけれど、本当はそれより下か上かさえわからないが、がかい[#「がかい」に傍点]に比べて幾分の低能であって、ここへ来るもっと小さい年下の子供のいいようにされている奴だ――ということを、主膳が直ちに知って苦りきりました。それ、この間吉原遊びというのをさせられて、こいつがおいらんに仕立てられ、お前、廻しを取るんだよと言われて、その言いつけ通りにやってのけた奴だ。
「おい、お前、こんなところへ来てはいけないのだ」
と、主膳が呆《あき》れ返ってダメを押すと、この女の子は、妙な上目使いで叱る主膳の面《かお》を見ながら、片手を振って見せました。つまり、その仕草《しぐさ》で見ると、いま隠れん坊をはじめて、わたしはこ
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