です。
自分たちの駕籠をおさえて、人あらためにかかったのは、右の美少年ひとりだけだが、行手の松林の中に相当の人数が控えている、これは愚図愚図していると人違いの災難を受ける、そこをお角が感づいて、先を越して早くも素姓《すじょう》を露出して見せたお角の機転もさることながら、この美少年が、年に似合わず落着いて、ハキハキした応対ぶりに感心させられないわけにはゆかぬ。再び動き出そうとした時、その美少年は再びさしとめて、
「あいや、憚《はばか》りながら、もう一度、お乗物をお戻し下さい。実は、拙者、ただいま思案いたしたところによりますると、この先、また、我々同様のものあって、お乗物に御無礼を致さぬとも限らぬ――つきまして、ここ一刻ほどの間、あれなる松林の中にて御休息あってはいかがでござろう、そのうち、我々の求むるところの目的が果されさえ致すことならば、次の駅まで人を以てお送り申し上げてもよろしい、暫時、あれなる松林にお控え下さるまいか」
その申入れをお角はことごとく受入れて、この一行は道を枉《ま》げて、その松林の中の松の木蔭のほどよいところに駕籠を置き、そこでしばらく休む。
一行を、ここへ導い
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