の事なら、もう大丈夫よ。あの晩、備前屋さんへ入って、江戸のお客様のものを盗《と》ったのは、君ちゃんではないこと、友さんでもないこと、そりゃわかりきっているけれども、証拠が物を言ったあの時のことでしょう、どうしようもなかったのね。それが今となっては、すっかり晴れてしまって、誰だって一人も、友さんや君ちゃんを疑ぐってるものはありゃしません、お前さんたちは、大手を振って国へ帰れるようになっているのよ」
「そうかなあ」
「そうだともお前、あの時の泥棒は別にあって、名乗って出たんですとさ」
「どこの奴だい」
「名乗って出たけれど、まだつかまらないんですとさ」
「おかしいなあ、名乗って出た奴がつかまらねえというのは」
「そんな事は、どうでもいいのよ。それでね、土地の人も、お前さんたちを、大へん気の毒がって、友さん、お前のお墓が、もうちゃんと出来ているのよ」
「おいらのお墓が出来てるのかい」
「ええ、お前さんは、たしかに尾上山から突き落されて、お処刑《しおき》になってしまったんだから、正直者がかわいそうに、むじつ[#「むじつ」に傍点]の罪で死んだといって、皆さんの同情が集まって、今では米友|荒神《こ
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