、
「先生、どうなさいました」
「早く、早く、何とかしてこの男を、飛ばさねえように……」
「いったい、どうしたのです、先生」
「どうしたも、こうしたもねえ、この男の足をおさえておくんなさい――下へ飛ばせねえように……」
「何が何だか、わかりませんが」
といって、わからないなりに米友の足をおさえたのは、いまあがって来た別の一人――頭が丸くて十徳姿、お数寄屋坊主とも見られる――それはいつぞや、木曾の寝覚の床で、道庵と昔話の相手をしたその僧形《そうぎょう》の人体《にんてい》にも似ているようなのが、力を合わせて、必死と米友を取押えにかかります。
二人の、騒ぐことによって、米友がほっと己《おの》れにかえりました。力を抜いて、ふり返った拍子に二人が後ろへころげる。
おこりが落ちたように、きょろりと四方《あたり》を見返した米友。
とりのぼせてまことに済まなかったという面《かお》つきではあるが、その上に漂う悲痛の色は消すことができない。
二十五
米友をなだめた道庵は、そこを一重下ってから、外を遠くながめて、
「友様、見な、肥後の熊本が見えらあ」
ここで、道庵が突然、肥後
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