に、まず口御門《くちごもん》がある。
ここには長さ七尺、幅三尺五寸の扉が二枚あって、右の方の扉には長さ二尺四寸、幅一尺八寸の潜《くぐ》り戸《ど》がついている。門の表はすべて鉄で張ってある。この扉を開くには、まず潜り戸の輪、懸金《かけがね》の錠《じょう》を外《はず》して中に入って閂《かんぬき》を除いて、それから扉を左右に開くようになっている。この錠前の封は御城代の実印を捺して、それを箱に入れ、その箱封にはまた当番の御鍵奉行の実印が要る。そうして、その錠を検査するのは御本丸番の役目で、朝と、夕べと、晩と、三回ずつとある。
道庵先生は、この難関を、どうして突破したか?
口門を入ると桝形《ますがた》がある。ここには石樋《いしどい》があり、口元は千百二十四貫八百五十九匁の鉛を敷いてある。
桝形の奥にまた門があって、その開閉の順序次第は、前と同じことである。
道庵先生は、その関門を如何《いか》ように通過して、次なる御蔵《おくら》の間《ま》に入って来たのか?
この御蔵の間はちょうど、五重の天守閣の番外なる地下室に当る。ここには御金蔵《ごきんぞう》もあれば、井戸の間もある、御土蔵もあれば穴
前へ
次へ
全514ページ中170ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング