無理にその女の子をゆすぶったものです。
 そこで、踊りの情景が粉砕される。
 袂を取られて、この怪物に喰いつかれた娘は面《かお》の色を変えて驚いたが、小突き返されていながらそのグロテスクの面影をチラリと見て、
「おや、お前さんは米友さんじゃないの」
 こう言って、色を立て直したものですから、
「おお、お前、ほんとうによっちゃん[#「よっちゃん」に傍点]だな、おいらあ、米友だよ」
 彼は、その昂奮した顔面を、すりつけるように、自分が、よっちゃんと呼びかけた娘にちかよせると、たじたじと後ろにさがりながら、
「怖《こわ》い、米友さんは米友さんに違いないと思うけれど、米友さんのはずがない、本当の米友さんのはずがないわ、わたし怖い、全く別の人か、そうでなければ、米友さんの幽霊でしょう、怖いわ、わたし逃げるわ」
 こう言って、せっかく立ち直った面の色をまた変えて、隙を見て、転ぶように逃げ出しました。
「違えねえんだよ、本当の米友だよ、本当の友がおいらなんだよ、だから、よっちゃん、間違えねえんだぜ」
 こう呼びながら、米友は、その娘の跡を追いかけて、再び袂を捉えようとしたものですから、事が大きくなりました。
「怖いわよう、放して下さい」
 娘は顛倒して走りました。
「違やしねえんだよ、友だよ、網受けの米友なんだよ、お前《めえ》が本物のよっちゃんなら、おいらも本当の米友なんだよ、面を見たらわかりそうなものじゃねえか」
と叫びながら、追いかける。混乱したのは、それを見ていた同連と群衆だけではありません。
 米友自身の言うところも、怖れておるところの娘の挙動も、何が何だかわかりません。
 しかしながら、驚愕と、恐怖とで、夢中で走り出した娘の足と、あっけに取られている四方の人の慌《あわ》てふためいている間に、再び走りかかった米友が、右の娘の袂をつかまえて、全く動かさないことにしてしまったのは、雑作《ぞうさ》もないことで、
「ね、よっちゃん、もう一ぺん、よくおいらの面《かお》をごらん、米友に違えねえだろう」
と、三たびその面を摺《す》りつけました。
 摺りつけないまでも、遠眼で見たって、一たび見覚えのある者にとっては、この男の面は忘れようとしても、忘れられない記憶となっているはず。
「あ、友さんに違いない、けれども、わたしの知っている米友さんは、もう生きていないんですもの」
 娘は恐怖のあ
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