それがさ……」
「では、一緒にここへでも連れて来たのか」
「それがさ……」
 いやに彼等二人はニヤニヤして、歯切れのいい返事をしない。
 兵馬は、机に近い程よきところに席を占めて、
「そうして、拙者がここへ来たことを、君たちは、知ってたずねて来ましたか、或いは偶然にここへやって来たのですか」
「雪に足あとがあるものだから、こいつ狐の足跡ではない、多分、君の足あとだろうと思うから、それを伝って、とうとうこれまで入りこんだというわけさ」
 とはいえ、この辺こそ雪だが、松本あたりはまだ雪ではあるまい。
 しかし、いずれにしてもこの二人の来合わせたのは、偶然ではなく、兵馬の足あとをかぎつけて来たものであることは、疑いがないらしい。
 とすれば、あの女はどうしたのだ。
 中房からの道、兵馬のあとに追いすがって来たあの女はどうしたのだ。もと浅間の芸妓《げいしゃ》であったという女。
 兵馬がもてあましたところを、二人が引受けたはいいが、兵馬は、手放してかえって持扱っている。
 ここへ来たのも一つは、その行方《ゆくえ》が気になってたまらないからだ。
 しかし、詰問してみると、二人はニヤニヤと笑うばかり
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