いをしてしまったものですから、大変に御迷惑をかけちまいましたことがございますんです」
「ははあ……実はね、その飛ばっちりが、われわれの方までも飛んで来て、えらい迷惑をしてしまったよ。君はあの、松太郎という浅間の芸者だろう」
「お察しの通りでございます」
「よくない、甚《はなは》だよくない、われわれの友人、兵馬を君がたぶらかして、あっちこっちへ引っぱり廻すなんぞは、甚だよくない」
と仏頂寺が、ワザワザ睨《にら》みの利《き》かないような眼つきをして見せると、女は少し真面《まがお》になって、
「いいえ、それは違います、どちらがたぶらかしたの、引っぱり廻したのというわけではありません、こなた様にはほんとうに、はからず御迷惑をかけたり、お世話になったりして、お礼をこそ申せ、お恨みを申し上げるような義理じゃございませんのですけれど、昨夜《ゆうべ》のなされ方が、あんまりお情けないものですから……」
「なるほど昨夜、この宇津木が、君に対して、何か不人情な仕打ちに出でたものと思う、そりゃ宇津木が悪い」
仏頂寺が呑込み顔にいうと、女は、
「いいえ、こちら様がお悪いことは少しもございません、ほんとうは、わ
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