う字なんだよ。ところが藪の先生、それを『※[#「魚+生」、第3水準1−94−39]《しゃけ》』と読んでしまったんだ、魚扁に生、それはサケともいうし、シャケともいう字なんだ。そこでよろしいとも、シャケならいくら食べても差支えないと答えたものだから、先方はフグを食ってしまった。病気上りにフグを食ったからたまらない、忽《たちま》ち往生してしまったのだ。鮭《ふぐ》と、※[#「魚+生」、第3水準1−94−39]《しゃけ》では、忙しい時は誰だって間違えらあな……なるべく物の名というものは、区別のつくように書かねえと、体《たい》が現われねえのみならず、一字の違いで、この通り命に関《かかわ》ることもあらあな、ゴマかしはいけねえ」
道庵は懇々《こんこん》と説きさとすようなことを言って、わけもわからずに源助を感心させ、
「ところで、男というものは、一片の鉄を鍛《きた》えるにしてからが、人と違った働きをしてみせなけりゃあ、生甲斐《いきがい》が無《ね》えのだ。真似《まね》をして、ゴマかしをして、一生を終るくらいなら、死んじまった方がいい。わしは今、この焼直し屋を医者の方で調べているから、調べ上げたら、お前さ
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