再び、七兵衛に向って、たらし[#「たらし」に傍点]餅をすすめます。
そこで七兵衛はお茶を飲み、たらし[#「たらし」に傍点]餅を食いながら、なにげなく、
「それでわかった、それで委細がわかりましたよ、お松さんという人が、ああして新町へお堂を建てたり、そのお堂の中に納めてあった絵馬《えま》が、こんなところへ来ていたりする因縁《いんねん》が、よくわかりましたよ。しかし、若い衆さん、わが子を捨てるほどの親を、血眼《ちまなこ》になって探し廻るような仕事はよした方がようござんすぜ、子を捨てるほどの無慈悲な親に、ロクな奴があるはずがありませんからね。よしんば探し当てて、おおお前がお父さん、おおお前がせがれか、と抱きついてみたところで、ツマらねえお芝居さ、少しほとぼりがさめてごらんなさい、子供の方がちっと、よくでもなっていて、小遣銭《こづかいせん》をねだりに来られたりするうちはまだいいが、万々が一、その親という奴がたち[#「たち」に傍点]の良くねえ奴でもあってごろうじろ、それこそ親子の名乗りなんぞしなかった方が、ドノくらい仕合せかとあとで臍《ほぞ》を噛《か》むようなことがなんぼう[#「なんぼう」に傍
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