にはただいま、何人の人がいますか」
「都合五百人には過ぎませぬ」
「しからば、そのうち三百人を、わしに貸してたもらぬか」
豪傑が沈黙してしまいました。かねて高村卿は豁達《かったつ》なお方とは聞いていたが、なるほどその通りだと思ったのでしょう。それと同時に実際、公卿《くげ》さんの中にも豪《えら》い気象の人がいると、舌を捲いたのかも知れません。
十津川《とつがわ》の時の中山卿、朔平門外《さくへいもんがい》で暗殺された姉小路卿、洛北《らくほく》の岩倉卿、それらは慥《たしか》に公卿さんには珍しい豪胆な人に違いないが、この高村卿の突拍子には格別驚かされる。
もし、かりにここから三百名の浪士を借り受けたところで、それに伴う兵器食糧はどうするつもりだろう。もしまた仮りに、飛騨《ひだ》の国を乗っ取ってみたところで、それを守る者、或いは後詰《ごづめ》の頼みはどうなるのか、その辺の計画は一向にないらしい。ないところが、またこの人たちの無性《むしょう》に愛すべきところかも知れない。
豪傑連は、この豪胆な貴公子の意気を喜びましたけれども、その豪胆通りに実際が行われるものでないことを、懇々と説諭しなけれ
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