ろもの》ですが、それを持ち出した留守居の源五の腕だけは、あの時の一軒屋の亭主よりも上らしい。
 こうして鉄砲が一挺に槍が二本、同勢六人で押し出した熊狩隊は、行く行く熊の話で持切りです。
 熊は必ず一頭では歩かない、親の行くところには必ず子が従うということ。熊の掌《てのひら》の肉がばかに美味《うま》いということ。熊の胆《い》の相場。熊は山を歩くにも、猪や、鹿のように、どこでもかまわぬという歩き方をしない、だから、ここを追えばここへ出るという待ち場所はちゃんときまっている――というようなことを話し合う。
 池田良斎はそれを聞いて、商売商売だと思う。よく朝鮮征伐の物語で、勇士が虎に接近した昔話を読むが、この辺の猟師もそれに負けないことをやる。そうしてかれらは、それを冒険だとも、手柄《てがら》だとも思っていない。かえってその冒険よりも、熊一頭の所得を偉大なものだと信じていることを不思議がる。
 暫く進んで、ようやく山深く分け入った時、
「ソラアいた、いた――ソレ、あすこで動いてるのを見ろやい」
 一人が叫び出すと、すべての眼の色が緊張する。
「一発ブッくらわしてみろ」
 そこに獲物《えもの》の
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