の変った情味がゆたかです。
 浅吉は吸い入れられるように、その絵本に見入りました。
 お雪ちゃんという子も、これだから油断がならない。
 浅吉は怖る怖る、その折本を下へ持ちおろして、最初から一枚一枚見てゆくうちに、浮世絵の情味が、自分の身《からだ》の中に溶け込んで、しばらく、われを忘れてしまいました。
「お雪ちゃんという子もわからない子だ、無邪気で人なつこく、同情心が深くって、神様のような心持かと思っていれば、こんな本を内密《ないしょ》で見ているんだもの。それでも、年頃だから、こんな美しい当世風の浮世絵を見ていれば、悪い気持もしないのでしょう、にくらしい」
 浅吉はこの時、お雪を憎らしい子だと思いはじめました。
 事実、浅吉にあっては、このごろ中からお雪ちゃんというものが、読めたような、読めないような、心持になっているのです。
 もう、年ごろなのに、無邪気で清々《せいせい》とした子供のような気分――かと思っていると、なにもかも見抜いて、粋《すい》を通しているようなところもあるし――あの目の見えない人を先生と呼んでいるが、何の先生だか、浅吉にはよくわからない。親類の人でもあるようだし、全
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