ことであります。
「君などは、坊主になってうまい商売をはじめたものだが、拙者の如きはこの通りの有様でウダツが上らない、何かしかるべき商売があらば世話をしてもらいたいものだ」
と神尾がいいますと、足立敏外和尚はまるい頭をなで、
「ふふん」
と笑いましたが、またつくづくと神尾主膳の面《かお》を見て、
「君のその眉間《みけん》はどうしたのだ」
「これか――」
主膳は今更のように眉間の傷に手を当てて、
「ちっとばかり怪我をしたのだ、これあるがゆえに、この面《かお》が世間へ出せぬ」
「うむ、ちょうど、眼が三ツあるようだ」
「生れもつかぬ不具者《かたわもの》――」
といって主膳の面《かお》には憤怒《ふんぬ》の色が現われました。それは、いつもこの傷を恨むと共に、骨にきざむほど憎らしくなる思い出は、あのこま[#「こま」に傍点]ちゃくれた、口の達者な怖ろしいほど勘《かん》のいい弁信という小法師のことであります。あいつのためにこうまで、生涯拭えぬ傷を負[#「負」は底本では「追」]わされたと思い出すと、堪らない憎悪の念がいっぱいになるのであります。
「いや、その傷が物怪《もっけ》の幸いというものだ。我々の
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