いほどに、手筈はととのっていたものらしい。
 さて、本尊の住職はどうした。その夜、はじめて入室を許されたお絹という女はどうした。これは、縛《いまし》めのうちに見えない。
 捕吏《とりて》たちは、血眼《ちまなこ》になって、住職をとたずね廻るけれども、ついにその姿を見出すことができないで、堂の壇上から裏の藪を越えて、稲荷《いなり》の祠《ほこら》の前まで、地下に抜け穴が出来ていたのを発見した時は、もう遅かったようです。
 これより先、七兵衛は早くも本堂の天井裏に身をひそませて、じっと下の様子を見おろしておりました。
 本堂の中では、お手前物の蝋燭《ろうそく》を盛んにともしつらねさせて、さながら白昼のような中に、引据えられた婦人たちを前に置いて、仮りに訊問の席を開いているのが、天井の七兵衛には、手に取るように見えます。
 しかし、恥と怖れとで、その婦人たちは、いずれも面《かお》を上げている者がありませんから、どのような身分の、どのような縹緻《きりょう》の婦人だか、それはわかりません。
 有合わせの床几《しょうぎ》に腰をかけて、その婦人たちを訊問している二人の侍。その声で覚えがあるが、これはさい
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